平成26年度仙台市連合町内会長会役員研修会が開催されました
11月19日(水)午後、作並温泉La楽リゾートホテルグリーングリーンにおいて平成26年度役員研修会(役員19名、事務局等関係市職員12名、合計31名出席)が開催されました。
研修会は、「地域内連携強化による地域課題解決策について」をメインテーマに、全体会でのオリエンテーション(10分)、3つの地域内連携パターンの事例発表(50分)、3つの地域内連携パターンの比較(15分)、全体討議(65分)の構成で行われました。
このテーマは、東日本大震災の対応や、地域版避難所運営マニュアルづくりを通じて、地域内各種団体・機関・行政などの一層の連携強化が地域課題解決の効果や、「今後の新しいコミュニティづくり」に直結するという見方が、これまでにも増して広く深く共有されるようになっている状況を受けて、「地域内連携強化による地域課題解決策の有効なしくみ」として、「課題別協議会並列型」「まちづくり協議会型」「連合町内会集約・統括型」という3つの地域内連携のパターンによる取組みが有効と考えられるが、この3つのパターンの比較検討をしてそれぞれの有効性や可能性について探ることが重要であるということで設定されました。
研修会は以下のとおり進められました。
1 開会
2 会長あいさつ
3 オリエンテーション(全体会)
〔主な内容〕
〇資料確認
・役員研修会のしおり
・事例発表用パワーポイントスライド及び関係資料
・3つの地域内連携パターン比較資料
〇日程確認
〇研修のねらい
〇研修の流れ
4 事例発表
〇連合町内会集約・統合型
「各種団体の運営統括による地域づくり」
発表者 生出学区連合町内会会長 堀 江 俊 男
〇資料「生出の街づくり」「パワーポイントスライド」
〇発表要旨(連合町内会の概要、事業、会計内容等は省略)
≪このしくみに移行した理由・動機≫
・生出地区の5団体(連合町内会、地区社会福祉協議会、赤十字奉仕団、共同募金会、民生委員・児童委員協議会)は、世帯数が少ないので各団体の助成金や予算規模が小さいので、それぞれに大きな行事を行う財源のゆとりがなかった。そこで、お互いに協力し合うことで、生出地区としての総合的なまちづくりや各種団体の活動をより機能的に展開できるようになるのではないかと考えた。
≪移行方法≫
・このしくみに移行するにあたって、連合町内会の副会長で社会福祉協議会の会長になった平成12年度に、5つの団体の規約を、連合町内会を中心に据えた活動ができるように改正案の作成に備えた。
≪移行時期≫
・平成14年度に連合町内会長に就任した時に、他の団体長に規約改正案を示して了解を得て移行した。
≪各種団体の運営統括のしくみ≫
・地区内の各種団体の長をすべて地区内の町内会長が分担して就任するようにしている。
・町内会長会議を月例で開催し、その中で地域課題の共有、各種団体間の情報交換や役割分担、協力関係が確認できている。
・事業は、各種団体の独自事業と連合町内会共同事業に棲み分けしている。
・予算の統一はしていない。
・総会は、同じ日に時間を分けて別々に行っている。
・運営統括のしくみを示している会議の議題の持ち方や各種団体の規約条文は、資料のとおり。
≪今後の継続性≫
・このしくみが未来永劫続くかどうかはわからない。リーダーの個性、考え方によって変更になることもあり得ると考えている。
〇課題別協議会並列型
「課題別協議会の特徴を生かす地域づくり」
発表者 新田学区連合町内会会長 橘 川 光 男
〇資料「パワーポイントスライド」
〇発表要旨(連合町内会の概要、事業、会計内容等は省略)
≪課題別協議会の内容≫
・防災訓練打合せ、体育祭実行委員会、新田コミュニティまつり実行委員会、盆踊り実行委員会、社会を明るくする運動実行委員会
・上記のそれぞれの課題を解決していくために、それぞれの課題解決にふさわしい団体が協議し合っている。
・その実行委員会では、連合町内会が深くかかわらず、すべて実行委員会に任せている。
≪利点≫
・各団体や打合せの特徴をそれぞれに活かしていける。
・連合町内会が各種団体全てのことに関わって行くと、各町内会長の負担が大きくなり過ぎるので、それを防ぐことができる。
≪今後≫
・地域全体の連携や連絡調整は必要なので、連合町内会が各種の課題別協議会に適度に関わり、その役割を果たすのが望ましいと考えている。
〇まちづくり協議会型
「組織間の垣根を取り除く地域づくり」
発表者 片平地区連合町内会会長 今 野 均
〇資料「パワーポイントスライド」「片平地区まちづくり計画」
〇発表要旨(連合町内会の概要、事業、会計内容等は省略)
≪このしくみに移行した理由・動機≫
・平成22〜24年度に青葉区個性ある地域づくり計画策定事業に取組み、平成25年3月に「杜の都・仙台を象徴するまちづくり」をテーマとする「片平地区まちづくり計画」をまとめ、各町内会・関係機関に配布した。
・この計画づくりのため、平成21年11月に片平地区まちづくり準備委員会を結成して進めた。
・平成22年8月に片平地区個性ある地域づくり計画策定委員会を設立し、本計画をまとめた。
・平成25年4月に本計画の実施段階に入り、この計画の実践組織として片平地区まちづくり会の組織を改編し、現在に至っている。
≪このしくみに移行した理由・動機(町内会活動から地域のまちづくり活動へ)≫
・それまでは、単位町内会、連合町内会、地域内の各種団体があまりつながりない状態でそれぞれの役割を果たしていた。
・それぞれの問題解決については、自ら課題を抽出し解決するか、行政に要望・陳情するなどして処理したり、実現したりしていた。
・個性ある地域づくり計画策定事業に取組んだことにより、自ら企画実行するものと、自分たちだけで解決できない(達成できない)課題は、協働体制で実現を目指すようになった。
≪個性ある地域づくり計画策定事業でまとめた「片平地区まちづくり計画の主な内容」≫
・片平地区の特徴(魅力と課題)を整理した。
・まちづくりの基本方針として、基本理念とまちづくりの目標を定めた。
・実践プロジェクトと実践に向けた体制をまとめた。
・それらの内容は資料のとおり。
≪まちづくり協議会型組織の利点≫
・既存の組織はそれぞれ尊重し「片平地区まちづくり会」は調整機能を果たす形であるが連携の取れる組織であり地域内全体の意思統一が図り易くなった。
・実践活動はテーマごとに実行委員会形式で実施しているので協力を得やすい。又実行委員はその都度集めるので学生などを含め得意分野での参画が出来比較的人材を集め易くなった。
・公の組織として認識されてきているので行政をはじめ多くのNPO団体や近隣の地域、学校、企業などとの協働関係を築き易くなった。
≪今後のこと≫
・地域自治体の究極の姿は組織も財布も一本化できることだと認識しているが、そのためには
@人材の育成・確保
A事務局体制の専任化
B財政の裏付け(住民の会費や協賛金・助成金だけに頼らずコミュニティビジネスなど自ら生み出す仕組みも必要)
C行政サイドを含めた意識の改革など問題が多い。
以上4つのことを念頭に置き当面は、立上げた協議会型組織で「住みよいまちづくり」に取り組んで行くことを考えている。
5 3つの地域内連携パターンの比較
「3つの地域内連携パターンの特徴、長所、短所」
説明者:仙台市連合町内会長会事務局長 相 沢 良 雄
≪3つの地域内連携パターンの大まかな特徴と組織図について≫
・3つのパターンの形態と特徴は図のとおりであるが、それぞれに幅がある。
・課題別協議会並列型は、仙台もだが日本中で最も多い形である。
・まちづくり協議会型は、平成10年代に入って多くなってきた。条例制定による普及を図っている自治体や、これから条例制定をして進めて行こうという自治体もある。
・連合町内会集約・統合型は、現時点で完全な統合型はほとんどないと思う。
≪仙台市内連合町内会の地域内連携の現状と今後の意向について≫
・この資料のとおり、今年の1月の時点では、約38の連合町内会が各種団体を連合町内会の組織の中に位置づけていると答え、そのうち、15くらいの連合町内会がかなり密着度の高い関係であるという回答結果が出ていた。
・今後の意向については、課題別協議会並列型志向が約57%(55)、まちづくり協議会型志向が約11(11)%、連合町内会集約・統合型志向が約9%(9)だった。
≪地域内連携状態(3つのパターン)変遷過程及び予想について≫
・資料のとおり、そもそも全部が課題別協議会並列型だった。
・その後、「維持・継続」か「変化・移行」かに分かれたことにより、課題別協議会並列型のままの状態にあるか、まちづくり協議会と連合町内会集約・統合型に変化したかという違いが出てきた。
・これら3パターンの間では、行ったり来たりすることがあり得るし、どちらに進むかの選択は全く自由であり、専門委員会としては、10年位の間にいろいろな場でそれぞれの長所・短所や、実験・実績などをみて継続するか・新たな選択をするかの判断をしていただくことになると受け止めているところである。
≪3つの地域内連携パターンの比較資料について≫
・この資料には、3つのパターンの特徴、長所・短所、主な事例、8つの評価項目による比較、総合評価がまとまっている。
・これは、第1回専門委員会で各委員からあげられた意見・考えを3つのパターンごとに整理したものである。
・この資料中の2枚目の裏面の8つの評価項目による比較と総合評価をみると3つの違いがよくわかると思う。
休憩
6 全体討議
〇「事例発表、パターン比較の説明に対する質疑応答」
〇「今後の地域展開をどのように考えているか」
〇「今後の地域展開をどのようにするのが有意義か」
司会:仙台市連合町内会長会理事 千 田 文 彦
記録:仙台市連合町内会長会事務局
≪質疑応答(●印:質問・意見、○印:回答)≫
【課題別協議会並列型の場合のリーダーシップの取り方】
●課題別協議会並列型の場合の各々の行事を進める際のリーダーシップについて、例えば、防災訓練を行う場合、どこが呼びかけたり中心になったりしているか。
○各種団体の長を中心に行われており、連合町内会とは関係がない。各種団体それぞれが独自の年間予定表に基づいて運営を行っている。それで別に問題は起きていない。
○運動会、防災訓練は連合町内会長が音頭をとってやっている。
○総務部長が旗振り役を行っている。
○防災訓練の場合は防災協議会が主となって動いている。
【まちづくり協議会の場合の旗振り役】
●まちづくり協議会の場合の旗振り役について
○まちづくり協議会と各種団体の活動は棲み分けしており、その棲み分けをまちづくり協議会で行っている。(まちづくり協議会で何を行うかを決め、それ以外は、各種団体の事業範囲となる。)
【地区内の話し合いでまちづくり協議会型を志向の傾向】
●地区内でこれからの地域内連携強化による地域課題解決策について説明を行ったところ、地区社会福祉協議会などからぜひ、まちづくり協議会型にしてやってもらいたいという声があがった。自分達だけでは活動がうまくいかないので、いろいろな団体と協力して行きたいという考えのようだ。
【まちづくり協議会型に移行するための指導の受け方】
●まちづくり協議会型に移行するための青葉区で個性ある地域づくり事業について
○この事業は原則2か年事業で、1年目は準備期間で2年目に地区としての中長期計画を作成して全世帯に配布し、策定した計画を推進・実現するためにまちづくり協議会を結成している。1年目に50万円位、2年目に100万円位を青葉区の予算から出して、実施地区の連合町内会でも3〜5万円程度出して事業を行っていると思う。次の実施地区は区連協の定例会で手あげ方式で選んでいるはず。
●まちづくり協議会型についての指導を得る方法について
○NPOに調査等の指導を受けた。
○片平地区で利用したのは仙台市の「まちづくり支援専門家派遣制度」の利用で、青葉区の個性ある地域づくり計画策定事業もそれを利用している。宮城野区に青葉区のような事業はないが、この派遣制度は誰でも利用できる。
【まちづくり協議会の会計のあり方】
●まちづくり協議会の会計について(連合町内会からの負担の有無について)
○まちづくり協議会は独自の会計を持っている。会費として1号会員(町内会)、2号会員(各種団体)、3号会員(企業やNPO、個人などで地区外の方も含んでいる。)から集めている。予算総額は約100万円で、その他、別会計でもある。
【地域内連携のパターンを考えることは意義があるが、エネルギーが大】
●地域内連携のパターンを考えることは意義があるが、エネルギーが大きい。こういう議論はすごく大事だが、地元に帰ると常日頃の行事運営に忙殺され、今のままでいいのではないかと思ってしまう。
【連合町内会集約・統合型は人口や世帯数が小規模のところでしか通用しないのか】
●連合町内会集約・統合型は、人口や世帯数が小規模のところで通用するかについて
○最終報告書の資料にもあるが、横浜で7000世帯近くでもやっている例があるので、規模の問題ではない。
【生出地区の連合町内会集約・統合型の事業や予算の決め方、連合町内会との関係】
●生出地区の連合町内会集約・統合型の事業や予算の決め方、連合町内会との関係について
○連合町内会としての事業計画や予算と、各団体の事業計画や予算は別々になっている。
【3つのパターン良いとこ取りの新しいパターン】
●3つのパターンにはそれぞれ長所も短所もあるが、3つの良いところだけを取って新たなパターンつくってもらいたい。
【3つのパターンに縛られない】
●地域にはそれぞれの形や事情がある。人材も違う。3つのパターンのどれかに属するということは考えなくともよい。
【課題別協議会並列型の場合、各種団体の長の力関係】
●課題別協議会並列型の場合、各種団体の長の力関係で支障が出ることもある。
【課題別協議会並列型の場合の各種団体と町内会の連絡】
●課題別協議会並列型の各種団体と町内会の関係について(行事を行う場合、情報を町内会に流し住民に伝える方法について)
○社会福祉協議会や日赤奉仕団、共同募金会には、町内会長が理事として入っている。
○すべての各種団体に町内会長が入っているので、各種団体と町内会の関係に何の問題もない。
○各種団体の長を町内会長がやっているので、特別な問題はない。
【連合町内会の規模が大きすぎる場合の地域のまとまりのつくり方】
●連合町内会の規模が大きすぎる場合の地域のまとまりを上手くしていくのは大変なようだ。
【1つの指定避難所を複数の連合町内会が使用する場合の使い方】
●指定避難所が複数あり、そのうちの1つを複数の連合町内会で使用する方法について
○5つの指定避難所があるが、2つの中学校は補助避難所にし、3つの指定避難所に3つの避難所運営委員会を設け、それぞれの責任者にはのその地区の町内会長が就くようにしている。連合町内会は地区本部のリーダーとして連合町内会長があたっている。
○指定避難所が3つあるがそれぞれの責任者に副会長をあて、会長は市民センターに設置する本部を担当する。
○避難所の範囲が2つの連合町内会に跨っているが、連合町内会同士で話し合って、班単位避難所の使い方を割り振った。避難所運営も互いに協力し合うようにしている。
○中学校を使うと連合町内会が跨ってしまうので、小学校しか使わないことにした。
○いかに避難所に来ないようにするかにも取組んでいる。ある程度ルール化もした。
○マンションごとにマンションに留まるところと避難するところを区分している。免震のところにで指定避難所に避難しないようにしているところには、食料を運ぶことにしている。
○避難所まで来れない地域があるので、がんばる避難所を多く用いることにしている。市の間マニュアルどおりにできないところなので、独自のマニュアルを作成している。
【人口に見合った指定避難所がない地区の悩み】
●約17000人が住んでいるのに指定避難所が小学校1つというところは大変だ。
7 閉会
掲載日:2014/12/26